設置進むか?園バス置き去り防止装置
2024年4月には設置が義務化される
昨年、一昨年と園児が園バスの中に取り残されて死亡するという悲惨な事故が起きてしまいました。園バスを使って我が子を園に通わせている保護者は、大きな衝撃を受けたのではないでしょうか。
この事故を受けて、置き去り防止装置の設置に関し、国は2023年6月末までの設置を努力目標、2024年4月までの設置を義務化としました。
事故以降、各社からさまざまなアプリが開発されているとのこと。しかし注文が殺到しており、2026年6月現在、なかなか生産が追い付かない状況だそうです。
2種類の装置、いったいどんな機能?
国は「降車時確認式」または「自動検知式」の2種類のうちのどちらかの設置を求めています。
①降車時確認式
園児が全員降車してエンジンを切った際、バス内に警告音が鳴り響きます。
運転手やスタッフがバスの最後尾のスイッチを押すことでブザーが鳴りやみます。
運転手やスタッフに車内点検を促す仕組みで、バスの最後尾まで歩きながら、園児が取り残されていないか目視で確認します。
設置費用もあまりかからず、簡単に導入ができるのが特徴。しかし、目視確認せずにただ歩いて行ってスイッチを押すだけでもブザーは鳴りやむので、「きちんとかがんで椅子の間まで目視確認する」という行動は個人のモラルに委ねられるのが懸案事項です。
②自動検知式
園児が車内に取り残された場合、園児の動きを感知して自動で園に知らせるセンサーです。設置費用は①よりかさみますが、より安全にバスの中を把握することができます。
ただ、通知センサーの電池切れや故障もありえるので、定期的なメンテナンスは欠かせません。
また、園児が横たわりセンサーの検知範囲に入らない場合や、寝てしまって動かない場合などは検知がされませんので十分に注意が必要です。
①または②の装置が設置されても、基本は降車後の確認を徹底することが求められており、機械はあくまでも補助という考え方にとどめておくことが大切です。
園児も自分の身を守る訓練を
乳児は難しいかもしれませんが、4~5歳児であれば実際にバスを使って訓練をしておくことも重要です。実際に訓練を行っている園は多数あるとのこと。
例えばバスの中に取り残されてしまったことを想定し、「自分の持ち物についている防犯ブザーを鳴らす」「運転席のクラクションを鳴らす」「窓を叩いて周囲の人に知らせる」などを実際に園児に体験させているそうです。
機械に頼り過ぎない!まずは車内確認を徹底することが大切
悲惨な事故が起き、国も設置を義務化する動きを示しているのにも関わらず、なかなか設置が進まない現状もあります。原因として上げられるのは
・送迎バスは毎日朝晩使うため装置を整備する時間が取れない
・取付作業に時間がかかるため残業や休出が必要になるケースがある
・国の補助金が出るまでの期間、予算の確保が難しい
とのことです。
またある園からは「うちは置き去りなんて絶対に起こさないから必要ない」と取り合ってもらえないケースもあるのだとか。義務化されることを丁寧に説明し納得してもらう必要がありますね。
いずれにせよ、設置義務化の動きには柔軟に対応していくことが求められていますし、そして何よりも大切なのは「車内確認の徹底」であることを忘れてはなりません。
その上で「ヒューマンエラーは起こるもの」であり「ヒューマンエラーを機械でサポートする」と考えましょう。