乳幼児のうつ伏せ寝をAIで検知。高齢者の転倒も感知OKに
近年、あらゆる場面でAIが活用されています。保育現場や介護の現場でも同様。
万年人手不足を少しでも解消するために色々な知恵を絞っているようです。
映像やセンサーのデータからAI(人工知能)を用いて姿勢を推定し、乳幼児のうつぶせ寝や大人の転倒を早急に発見することで、保育園や病院などの場所で安心感を提供しようとする試みが広がっています。どんな内容なのでしょうか?
(※2024年3月15日(金)朝日新聞朝刊の記事を参考に要約しています。)
AI技術で乳幼児の安全と保育士の効率を高める「にじのそら保育園 芝浦」
東京都港区に位置する「にじのそら保育園 芝浦」では、0歳から3歳の園児が様々な姿勢で安らかに昼寝をしている姿が確認されました。園内では、保育士が操作するタブレット端末を介して、園児の体の向きを自動で記録するシステムが導入されています。このシステムは、天井に設置された小型カメラが捉えた映像をAIがリアルタイムで分析し、園児の姿勢を判断するものです。
乳幼児突然死症候群に関する研究では、仰向けに寝ている時よりもうつぶせに寝ている時の方が発症率が高いと報告されています。これに基づき、こども家庭庁は、医学的に特別な理由がない限り、赤ちゃんを仰向けに寝かせるよう推奨しており、これが窒息事故の予防にも繋がるとされています。保育施設においては、園児の寝姿勢を記録し、それを自治体へ提出することが義務付けられていますが、このシステムの導入により、保育士の業務負担が軽減され、より多くの時間を他の業務に割り当てることが可能になりました。「にじのそら保育園 芝浦」に勤める保育士、岩田深優姫さん(29歳)は、このシステムによる効率化を歓迎しています。
「リケナリシス」による赤ちゃんの姿勢検出AI開発の新たな進展
理化学研究所(理研)から派生したベンチャー企業である「リケナリシス」(東京都港区)が、海外の研究者が開発したソフトウェアを活用してAIモデルを作成しました。このAIモデルは、理研などとの共同研究を通じて約1億枚に及ぶ乳幼児の画像を解析し、映像からリアルタイムで姿勢を検出する技術を独自に開発したものです。この技術を使用することで、1台のカメラを用いて最大12人の乳幼児の姿勢を同時に検出することが可能です。従来、子どもの腹部に装着するボタン型の機器なども姿勢検出に用いられていましたが、その取り外しが煩雑であるという課題が存在していました。
AIと人間の協働による保育士サポートの未来
同社の代表取締役である大関敏之氏は、AIと人間の間での役割分担について意識しています。「乳幼児が呼吸をしているかの確認は保育士の重要な役割であり、この責任を機械に委ねることには慎重であるべきだ。しかし、AIが自動で行える事務作業を代行することによって保育士を支援し、その負担を軽減することが、今後の方向性である」と述べています。この装置は2023年8月から市場に投入され、特に東京都内の保育園での導入が進んでいるとのことです。