自転車の後部座席、子どもの手足はみ出しに注意
自転車の後部に子どもを乗せて走行中、子どもの体が電柱などの障害物に接触し、けがをする事故が頻発しているとのことです。中には、子どもが大腿骨を骨折するなどの重傷を負うケースも報告されており、国民生活センターが注意を呼びかけています。
(※2024年6月27日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
自転車同乗中の子どもに関する事故の実態とリスク
医療機関を受診した事故の情報を収集する「医療機関ネットワーク」には、2019年度以降の5年間で、自転車の後部に子どもを同乗させて走行中に発生した事故が207件報告されています。
その内訳として、子どもの足が自転車の車輪に巻き込まれた事例が38%、転倒による事故が30%を占めています。また、子どもの体が横にはみ出し、電柱や標識などにぶつかる事故が18%を占めており、これらの事故の約半数が骨折という重傷に至っています。さらに、子どもが身を乗り出して頭にけがを負った事例も報告されています。
自転車同乗中の幼児に発生した事故とその再現テスト結果
昨年11月、自転車の後部に設置された幼児用座席に4歳の女の子を乗せて走行していた際、道路脇に寄った拍子に女の子の右足がガードレールと接触し、大腿骨を骨折する事故が発生しました。女の子は車輪の両脇で足をぶらぶらさせていたとのことです。
この事故を受けて、国民生活センターが再現テストを実施しました。その結果、後部に座る子どもは前方に乗る大人の体に視界が遮られ、標識やガードレールなどが近づいても気づきにくく、接触する危険性が高いことが明らかになりました。
子どもを自転車に安全に乗せるための注意喚起
国民生活センターは、「子どもを自転車に乗せる際は、必ずシートベルトとヘルメットを装着させ、体がはみ出さないよう声をかけてください」と注意を呼びかけています。また、狭い通路では障害物と接触する危険が高まるため、運転者は自転車から降りて押し歩くことを勧めています。
さらに、子どもの足が自転車の車輪に巻き込まれる事故の半数以上が、幼児用座席を使用せずに荷台に子どもを乗せていたことが原因でした。また、幼児用座席の使用が推奨される年齢を超えた子どもを乗せていた事例も報告されています。同センターは、「子どもの年齢や身長に応じて適切な幼児用座席を使用し、法律で禁止されている小学生以上の子どもを自転車に同乗させないようにしてください」と強く呼びかけています。
具体的な注意点とは
首都圏では、保護者が子どもを自転車の前後に乗せて保育園や幼稚園への送迎を行うことが一般的です。駐車場がない園が多く、また保護者自身が電車で通勤するケースが多いため、自転車が便利な移動手段となっています。しかし、子どもを自転車に乗せる際には安全に十分な配慮が必要です。以下に、子どもを自転車の前後に乗せる際の注意点をまとめます。
①ヘルメットの着用:子どもに必ずヘルメットを着用させることが重要です。ヘルメットは頭部の保護に欠かせません。自転車の転倒時や万が一の衝突時に、頭を守るための大切なアイテムです。
②適切な幼児用座席の使用:前後に設置する幼児用座席は、子どもの年齢や体格に合ったものを選び、しっかりと固定しましょう。座席に付属するベルトは必ず締めて、子どもが安定して座れるようにします。また、座席が適合する年齢や体重の範囲を確認し、適切に使用することが必要です。法律で定められている年齢以上の子どもは自転車に乗せないようにしましょう。
③安全確認と周囲の注意:子どもが自転車に乗っている間、体がはみ出さないように常に注意を払い、狭い道や障害物が多い場所では慎重に運転する必要があります。特に電柱やガードレールなどに接触しないよう、子どもの体の位置に気を配りましょう。さらに、交差点や信号のない横断歩道を渡る際は、周囲の車や歩行者の動きをしっかりと確認し、急停止や急発進を避けるようにします。
④荷物のバランスと固定:子どもを乗せた際に、荷物も一緒に運ぶことが多いですが、荷物の重さや配置によってバランスが崩れないように注意が必要です。荷物はしっかりと固定し、運転に支障をきたさないようにしましょう。
⑤自転車のメンテナンス:定期的に自転車の点検を行い、ブレーキやタイヤの状態を確認することが重要です。自転車が正常に機能していることを確認し、常に安全な状態で運転できるようにしておきましょう。
⑥交通ルールの遵守:自転車は車両と同じく道路交通法に従う必要があります。車道の左側を走行し、歩道を走る場合は歩行者を優先するなど、交通ルールを守ることが大切です。
⑦時間に余裕を持って行動:子どもを自転車に乗せる際は、急がずに余裕を持ったスケジュールで行動しましょう。急ぐことで注意力が散漫になり、事故のリスクが高まります。
首都圏での自転車による子どもの送迎は便利で実用的ですが、安全を第一に考え、これらの注意点を守ることが大切です。