ご存じですか?「聞き取り困難症」小中高生の1%
聴力の検査では全く異常がないのに、人の言ったことが聞き取れない、または聞き間違いが多い「聞き取り困難症(LiD)」をご存じですか?
日本医療研究開発機構(AMED)が行った調査によると、子供の約1%に症状があることが判明しました。
国内では初めての大規模調査で、国際的な雑誌にも論文が掲載されたそうです。
(※2023年12月4日(月)朝日新聞朝刊を参考にしています)
「聞き取り困難症(LiD)」とは?
耳から入った音の情報を脳で処理する際に、なんらかの障害が生じる、と考えらえています。
例えば、単語が言葉として入ってこない、耳で聴いただけでは理解できない、などの症状があり、騒がしい場所での会話や複数人で会話をするときに自覚しやすいとされています。
海外では既に人口の0.2~5%に症状があるとの報告もあり、今まで国内ではあまり注目されてこなかったのですが、ここ数年でSNSなどを通じてその症状が知られてきました。
どのような調査を行ったの?
AMEDの研究班は、2021~2022年に関西の小中高校に通う4,350人の子供とその保護者を対象にアンケートを実施しました。
「聴き間違いが多い」などLiDに関する質問の他に、発達に関する質問について、それぞれ743人から回答を得たそうです。結果は以下のようになりました。
●LiDの症状を自覚する頻度について
・若干高い:12.4%
・中程度:2.8%
・かなり高い:0.8%
学年が高くなるにつれて自分の症状をきちんと把握できるようになるためか、割合は高くなる傾向がありました。
しかし、保護者は症状を過少報告する傾向があり、周囲が気付きにくい、といった環境的なことも明らかになったそうです。
LiDを自覚する人の中にはADHD(注意欠如・多動症)の人も
さらに保護者の10%程度に「子供の発達上の問題がある」と回答していたとのこと。LiDの症状が重いほど、発達に関する問題も多くなる傾向が見られたそうです。
国内の先行した研究によると、LiDを自覚する人の34%にADHD(注意欠如・多動症)あるという報告もあるそうです。
専門家「早期に診断を受けて対処してほしい」
AMEDの研究責任者である大阪公立大学准教授(耳鼻咽喉科)阪本浩一さんによると、少なくとも症状の自覚がかなり高い0.8%の人はLiDと診断される確可能性が高い、と語っています。
子供の場合、学習や言語の習得に悪い影響を及ぼす可能性もあります。
とにかく、おかしいなと思ったら早めに地域の療育センターなどに相談して診断を受け、その子に合った適正な対策が取れるように園や学校と相談することが大切だ、と語っています。
以下について当てはまることが多かったら専門機関に相談を!
①知った→言った、佐藤→加藤など聞き間違いが多い
②え?なに?など聞き返すことが多い
③話を聞いていても、他の刺激があると注意がそれてしまう
④注意が途切れて長く聞き続けることが難しい
⑤騒がしい所や音が反響するところでは相手に注意を向けることが難しい
⑥静かなところでも相手に注意を向けることが難しい