子どもに人気の頭脳スポーツに様変わり?「麻雀」
麻雀(マージャン)のイメージが変わりつつあります。幼い子どもたちの間でも「頭脳スポーツ」として人気が広まり、子ども向けの教室はほぼ満席です。さらに、小学校のクラブ活動にも取り入れられ始めています。
(※2024年4月8日朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
子どもたちに人気の麻雀教室、東京都品川区で開催中
東京都品川区の麻雀教室では、2月の日曜日の午前10時過ぎ、入り口に子どもたちの行列ができていました。これは、健全な麻雀の普及活動を行っている一般社団法人「ニューロン」(東京)が月に2回開催している子ども向けの麻雀教室に参加するためです。
席は先着順で埋まり、部屋の中に並ぶ12卓の全自動麻雀卓は、あっという間に子どもたちで満席になります。参加者の半数以上が小学生で、中高生や未就学児も参加しています。「漢字が読めて座っていられる子」であれば参加可能で、最年少は4歳です。ルールがあやふやな子どもでも、詳しいスタッフが卓に1人配置され、丁寧に教えてもらえます。
教室内では、「やった、ロン!」「白(ハク)ポンされたー」「またチーされたよ」といった麻雀用語が飛び交います。小学校4年生の男の子は「戦術を考えるのが楽しい。運も必要なところが麻雀の魅力かな」と話しています。
子どもたちにも人気の麻雀教室、ニューロンの活動とその広がり
ニューロンは1997年に社会福祉事業として麻雀教室を始めました。発足翌年からは子ども向け教室を定期的に開き、現在では全国に13教室を展開しています。多くの子どもたちが習い事感覚で参加しています。
麻雀ができる場所といえば雀荘(じゃんそう)が一般的ですが、雀荘は風営法の対象となるため、18歳未満の子どもは立ち入りが禁止されています。そこでニューロンでは、カルチャー施設で麻雀教室を開校し、子どもでも出入りできる仕組みを作りました。
代表理事の池谷雄一さん(51)によると、2010年ごろから子どもの参加者が増加しています。「ゲームや麻雀を題材にした漫画やアニメを通じて、麻雀に親しんでいったのだろう」と分析しています。また、競技麻雀のプロリーグ「Mリーグ」が発足した2018年ごろにもさらに参加者が増え、「頭脳スポーツ」として子どもたちの間で人気が広まるきっかけになったと考えられます。現在では、児童館やカルチャーセンターでも期間限定の教室を開くことがあります。
麻雀で世代を超えた交流を楽しむ
麻雀は年齢を問わず楽しめる点が魅力の一つです。池谷さんは、小学生と80代、90代の方が麻雀を通じてあっという間に仲良くなる場面を何度も目にしています。
「ほどよい距離感でつながれるコミュニケーションツールとして、世代を問わない趣味や頭脳スポーツとして、麻雀を楽しむ人が増えるといいと思います」と池谷さんは語っています。
小学校で始まる健康麻雀クラブの取り組み
麻雀クラブを作った小学校があります。千葉県市川市の市立大洲小学校では、2023年度に4~6年生を対象とするクラブ活動として「健康麻雀クラブ」を設立しました。NPO法人の支援もあり、三つの卓と牌(ぱい)が用意されました。
クラブに入ったのは10人で、そのうち9人は麻雀未経験者でしたが、年間6回の活動で基本的なルールを覚え、対局を楽しめるようになりました。笠原佳朗(よしあき)教諭(39)は、「麻雀は卓上で何が起きているのかを観察することが大事です。相手の状況を見て考え、自分の行動を決めていくことは、生きる力にもつながるはずです」と話しています。
昨年度6年生だった荒泰斗(たいと)さん(12)は、クラブで初めて麻雀に触れました。漫画で知って興味はありましたが、実際にやってみるとルールが難しいと感じたそうです。しかし、「役やルールを調べたり教わったりするうちに、どんどん楽しくなった」と言います。初回のクラブの後すぐに牌を購入するほどのめり込み、パズルのように組み合わせを作るのが面白いと感じています。
仲の良い友達を家に招いてルールを教え、机に牌を並べて対戦することもあります。家族は初めは麻雀に対して印象が悪く心配していましたが、楽しさを理解してもらえました。休日には一緒に楽しむ日も増えました。誕生日には麻雀卓をプレゼントされ、「ちゃんとした卓はやりやすい。1年やって、麻雀にけっこうはまっています」と言います。卒業で麻雀クラブともお別れしましたが、趣味として続ける予定で、今後は麻雀教室に通う予定です。
漫画「ぽんのみち」で女子高校生の麻雀ブームが話題に
講談社の少女漫画誌「なかよし」は昨年9月から、女子高校生が麻雀を楽しむ漫画「ぽんのみち」を連載し、昨年末には付録として紙牌がついて話題になりました。
担当の飯田海帆(みほ)さんによると、編集部ではトランプなどと同じ一つのゲームとして捉え、家族で麻雀を楽しんでいる読者もいるだろうと考えているとのことです。反響は大きく、多くは「キャラクターがかわいい」という反応ですが、「付録で麻雀やってみたよ」「強くなりたい」という声もありました。
飯田さんは、「麻雀だけに限らず、ゲームの駆け引きは、大人も子どもも楽しいと感じるものだと思います」と話しています。